「毎月5,000円まで電気代がタダ」と聞くと、本当に0円になるのか、裏に何か条件があるのではと気になると思います。
先に結論をお伝えします。タダ電は、電気をあまり使わない人にはかなり得で、平均的な家庭には高くつく料金設計です。境目は月90〜120kWhあたりにあります。また、公式サイトのトップには出てこない「契約19か月目からは毎月560円の最低料金」という条件が、電気供給サービス提供条件書(約款)に書かれています。
この記事では、公式の料金表と約款から使用量別の支払額を計算し、あわせてApp Storeの文章つきレビュー418件を当サイトで集計しました。
この記事でわかること
- タダ電の料金の仕組みと、無料になる条件
- 使用量別の支払額(早見表)と、損する人・得する人の境目
- 公式トップには書かれていない、約款上の注意点
- レビュー418件で見た、満足する人と不満を持つ人の違い
タダ電とは?基本情報
タダ電は、株式会社エスエナジーが運営する電力会社です。申し込みから毎月の使用量の確認まで、専用アプリで行います。電気そのものは地域の送配電網(東京電力パワーグリッドなど)を通って届くため、電気の品質や停電のしやすさは今までと変わりません。
| サービス名 | タダ電 |
| 運営会社 | 株式会社エスエナジー(S Energy, Inc.) |
| 無料になる範囲 | 毎月の電力量料金から最大5,000円を減額(71kWhまでは0円) |
| 電力量料金の単価 | 1kWhあたり70円(税込) |
| 無料枠を超えた月にかかるもの | 超過分の電力量料金+基本料金280円+燃料費調整額+再エネ賦課金 |
| 契約19か月目以降 | 使用量にかかわらず毎月560円の最低料金(基本料金280円に代わる) |
| 対象エリア | 沖縄と一部離島を除く全国 |
| 契約できる人 | 個人のみ(法人は不可) |
| 支払い方法 | クレジットカード(Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Club)、コンビニ払い |
| 入会金・解約金 | なし |
| App Storeの評価 | 4.3(1,467件・2026年9月時点) |
タダ電はなぜ無料にできるのか
公式のよくある質問では、収益の柱は2つと説明されています。アプリ内の広告と、5,000円を超えて電気を使う人への電気の販売です。
後者がこの料金設計の要です。タダ電の単価は1kWhあたり70円と高めに設定されていて、無料枠を超えた分はこの単価で請求されます。つまり、使用量の少ない人を無料で迎え入れ、たくさん使う人から料金をいただく仕組みです。無料で使い続けられる人がいるのは本当ですが、それは使用量が少ない場合に限られます。
タダ電の料金を使用量別に計算(早見表)
公式の料金単価と約款の計算方法をもとに、1か月の使用量ごとの支払額を当サイトで計算しました。再エネ賦課金は2026年度の単価(1kWhあたり4.18円・経済産業省)で入れています。
燃料費調整額は、約款で決まっている「電力市場単価の加算」の最低額(1kWhあたり5円)だけを入れました。燃料価格に応じて毎月上下する分は入れていません。前月の卸電力市場の価格が高かった月は、加算が1kWhあたり9円以上になるため、表よりさらに高くなります。
| 1か月の使用量 | 契約1〜18か月目 | 契約19か月目以降 |
|---|---|---|
| 71kWhまで | 0円 | 560円 |
| 72kWh | 約980円 | 約1,260円 |
| 80kWh | 約1,610円 | 約1,890円 |
| 100kWh | 約3,200円 | 約3,480円 |
| 120kWh | 約4,780円 | 約5,060円 |
| 150kWh | 約7,160円 | 約7,440円 |
| 200kWh | 約11,120円 | 約11,400円 |
| 326kWh(全国平均) | 約21,090円 | 約21,370円 |
表で注目してほしいのは、71kWhと72kWhの間にある段差です。1kWhでも無料枠を超えると、超えた分だけでなく、基本料金280円と、その月の使用量すべてにかかる燃料費調整額と再エネ賦課金が一度に請求されます。0円の月と約980円の月の差は、わずか1kWhです。
タダ電で損する人・得する人の境目
今の電気代と比べるには、まず今の自分の単価を出します。検針票か電力会社のマイページで、先月の請求額と使用量(kWh)を確認し、請求額を使用量で割ってください。その単価ごとに、タダ電のほうが安くなる使用量の上限は次のとおりです。
| 今の単価(請求額÷使用量) | 契約1〜18か月目 | 契約19か月目以降 |
|---|---|---|
| 30円/kWh | 約95kWhまで | 約90kWhまで |
| 35円/kWh | 約106kWhまで | 約100kWhまで |
| 40円/kWh | 約120kWhまで | 約113kWhまで |
全国平均の家庭(月約326kWh)でタダ電を使うと、支払いは月2万円を超えます。家族で暮らしている家庭や、エアコン・電気暖房をよく使う家庭では、ほぼ確実に今より高くなります。一方、日中は外出していて自炊も少ない一人暮らしで、月90kWhを下回る月が多いなら、年間で数万円単位の差が出る可能性があります。
判断するときは、1か月分ではなく1年分の使用量を見てください。春や秋は無料枠に収まっても、夏と冬の冷暖房で大きく超える家庭は珍しくありません。電力会社のマイページでは、過去12か月分の使用量を確認できることが多いです。
タダ電のデメリット・注意点(公式トップに書かれていない条件)
以下は、公式サイトの「電気供給サービス提供条件書」と「よくある質問」で確認した内容です。料金と条件は2026年7月1日に改定されています。
契約19か月目からは毎月560円かかる
約款では、契約19か月目以降は、電気を使ったかどうかにかかわらず毎月560円の最低料金を請求すると定めています。すでに契約している人にも適用されます。無料枠に収まる月でも、年間では6,720円の支払いになります。
超えた月の燃料費調整額には市場価格の加算があり、上限もない
無料枠を超えた月には、その月の使用量すべてに燃料費調整額がかかります。タダ電の燃料費調整額は、燃料価格に応じて上下する分に、卸電力市場の価格に応じた「電力市場単価」が上乗せされる仕組みです。
| 前月の市場価格の平均(東京エリア) | 1kWhあたりの加算 |
|---|---|
| 15円未満 | 5円 |
| 15円以上20円未満 | 平均から6円を引いた額(9円以上) |
| 20円以上 | 平均から7円を引いた額(13円以上) |
つまり、無料枠を超えた月は、市場価格が落ち着いていても1kWhあたり5円以上が上乗せされます。100kWh使った月なら、加算だけで500円以上です。約款には「変動額の上限も設けておりません」と明記されています。その月の単価は、公式サイトかアプリで確認できます。
蓄電池・太陽光発電がある家と、人が住んでいない家は対象外
重要事項説明には、契約できる条件として「需要場所に蓄電池または太陽光発電設備が設置されていないこと」と「通常の居住実態が確認できない需要場所でないこと」が挙げられています。蓄電池や太陽光発電がある家は、そもそも申し込みの対象外です。ふだん人が住んでいない別荘やセカンドハウスも、この条件に当てはまると考えられます。約款の解約条件にもこれらの設備が挙げられているので、契約後に設置する予定がある人も注意してください。
一度解約すると再契約できない
公式のよくある質問によると、再契約の受付は2025年3月で終了しています。「冬だけ別の電力会社に移って、春に戻る」という使い方はできません。
その他の細かい条件
- 月の途中で使い始めた月や解約した月は、無料枠の5,000円も日割りになる
- 紙の検針票は発行されない(使用量と明細はアプリで確認)
- アンペア数は変更できない(前の契約のまま引き継ぐ)
- 支払い方法は、よくある質問ではクレジットカードとコンビニ払いのみで、口座振替は取り扱っていないとされている(重要事項説明には銀行引落も挙がっているため、口座から払いたい人は申し込み前に確認を)。コンビニ払いの決済手数料は1回280円
- 月初3日間の1日あたりの平均使用量が15kWhを超えた人は、その月以降クレジットカード払いに限られる(重要事項説明)
タダ電の口コミ・評判(App Storeレビュー418件を集計)
App Storeの評価は4.3(1,467件)です。このうち文章つきのレビュー418件(2023年5月〜2026年9月)を当サイトで読み込み、内容を分類しました。文章つきレビューだけの平均は3.79です。文章を書くのは不満がある人に偏りやすいため、ストア全体の評価より低く出ます。
良い口コミ:無料枠に収まった人の満足度は高い
★4〜5のレビュー289件のうち、167件(58%)が「0円」「タダ」「無料」に触れていました。「一人暮らし」「単身」に触れたレビューは全体で74件あります。電気代がかからなかったことをそのまま喜ぶ声が中心で、アプリで使用量をこまめに確認できる点を評価する声も13件ありました。
悪い口コミ:半数は料金・請求への不満
★1〜2のレビュー109件を、書かれている話題ごとに数えた結果です(1件が複数に当てはまることがあります)。
| 話題 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 料金・請求 | 54件 | 49% |
| 切り替え・申し込みの手続き | 29件 | 26% |
| 超過分・70円の単価 | 25件 | 22% |
| サポート・問い合わせ | 18件 | 16% |
| 使用量の表示・反映 | 14件 | 12% |
| 最低料金・規約の改定 | 13件 | 11% |
| 解約・再契約 | 12件 | 11% |
| アプリの不具合・ログイン | 12件 | 11% |
不満のいちばん多い話題は料金と請求で、その多くは無料枠を超えた月の請求額についてでした。サービスが止まるといった話よりも、使用量と料金設計が合っていなかった人の不満が中心です。満足している人と不満を持つ人を分けているのは、ほぼ使用量だと言えます。
なお、低評価の割合は2025年以降、半年ごとに20〜26%で推移していて、目立って悪化はしていません。レビューの件数そのものは増えています。
タダ電がおすすめな人・向いていない人
| おすすめな人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 月の使用量が90kWh前後までの一人暮らし | 家族で暮らしている(全国平均は月約326kWh) |
| 日中は外出が多く、家で電気をあまり使わない | 在宅勤務で冷暖房を長時間使う |
| アプリで使用量をこまめに見て調整できる | オール電化の家、蓄電池・太陽光発電がある家(対象外) |
| クレジットカード払いで問題ない | 口座振替で払いたい、法人契約したい |
電気代以外で家計を助けたい場合は、歩数やレシートでポイントが貯まるアプリも選択肢です。おすすめのポイ活アプリをまとめた記事もあわせてご覧ください。
タダ電は申し込み停止中?受付状況と条件変更の経緯
2026年9月28日時点で、公式サイトには3ステップの申し込み手順が載っていて、新規の申し込みを受け付けています。「申し込み停止」と言われるのは、サービス開始直後に受付を止めていた時期があったためです。無料になる金額も、開始時から小さくなっています。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2023年5月29日 | 「毎月10,000円まで電気代が無料」としてサービス開始。反響が大きく、その後新規申し込みを一時停止 |
| 2023年8月30日 | 無料枠を「毎月6,500円まで」に変えて、新規申し込みを正式に再開 |
| その後 | 無料枠は現在の「毎月5,000円まで(71kWh相当)」に(変更日は公式資料で確認できず) |
| 2025年3月 | 解約した人の再契約の受付を終了 |
| 2026年7月1日 | 約款と重要事項説明を改定。料金と無料枠の条件を見直し、契約19か月目以降の最低料金560円などを定めた |
口コミで「改悪」と言われるのは、この無料枠の縮小と最低料金の追加のことです。レビュー集計でも、最低料金・規約の改定に触れた低評価が13件ありました。条件はこれからも変わる可能性があるので、申し込む前に公式サイトで最新の重要事項説明を確認してください。
タダ電の申し込み方法
申し込みはアプリから行います。公式サイトでは最短2分とされています。
- 過去12か月の使用量を確認する(今の電力会社の検針票かマイページ。申し込みにも使うので手元に置いておく)
- App StoreかGoogle Playで「タダ電」アプリをダウンロードする
- アプリで契約者情報と、今の契約の情報(検針票やマイページに載っている供給地点特定番号など)を入力する
- 切り替えを待つ(公式では3〜5営業日。工事は不要)
今の電力会社への解約の連絡はいりません。タダ電への切り替えが完了すると、自動で解約されます。ただし、今の電力会社のポイントが失効したり、解約金がかかったりする場合があると約款に書かれています。今の契約の条件も確認しておきましょう。
タダ電に関するよくある質問
本当に電気代が0円になりますか?
契約から18か月目までは、1か月の使用量が71kWh以内なら0円です。19か月目以降は、使用量が少ない月でも最低料金の560円がかかります。
一人暮らしならタダ電のほうが得ですか?
使用量によります。今の単価が35円/kWhなら、月105kWhくらいまではタダ電のほうが安くなる計算です(燃料費調整額の市場価格の加算を最低の5円で見た場合)。夏と冬に大きく超える場合は、1年を通すと損になることがあります。
解約金はかかりますか?
かかりません。ただし、一度解約すると再契約はできません。
タダ電は今も申し込めますか?
申し込めます。2026年9月28日時点で、公式サイトに申し込み手順が載っています。サービス開始直後の2023年5月から8月まで新規の受付を一時停止していて、2023年8月30日に再開しました。
太陽光発電や蓄電池がある家、別荘でも申し込めますか?
蓄電池か太陽光発電設備がある家は申し込めません。重要事項説明は、これらの設備がある場所と「通常の居住実態が確認できない需要場所」を対象外としています。ふだん人が住んでいない別荘も、後者に当たると考えられます。
オール電化の家でも申し込めますか?
申し込みはできます。ただし、オール電化は使用量が多くなりやすく、70円/kWhの単価では割高になりがちです。公式のよくある質問でも、使用量に注意するよう書かれています。
電気の品質や停電は心配ありませんか?
電気は地域の送配電事業者の設備を通って届くため、品質や停電のしやすさは変わりません。夜間や広い範囲の停電は、地域の送配電事業者に問い合わせます。
まとめ
タダ電は「誰でもタダ」になるサービスではなく、使用量が少ない人ほど得をする料金設計です。
- 71kWhまでは0円。1kWhでも超えると約980円から
- 得をする目安は月90〜120kWhまで(今の単価と燃料費調整額による)
- 契約19か月目からは毎月560円の最低料金。蓄電池・太陽光発電がある家は対象外
- レビューでは、無料枠に収まった人の満足度が高く、超えた人の不満が中心
申し込む前に、今の電力会社で過去1年分の使用量を確認し、上の早見表と比べてみてください。
出典:タダ電公式サイト(トップ、よくある質問、電気供給サービス提供条件書、重要事項説明、2026年7月1日のお知らせ)、株式会社エスエナジーのプレスリリース(PR TIMES)、App Store、経済産業省「2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日)、環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査」。いずれも2026年9月28日時点で確認。
